坂村真民
踏みにじられても
食いちぎられても
死にもしない
枯れもしない
その根強さ
そしてつねに
太陽に向かって咲く
その明るさ
私はそれを
私の魂とする
ありがとう、それだけで幸せになれる
踏みにじられても
食いちぎられても
死にもしない
枯れもしない
その根強さ
そしてつねに
太陽に向かって咲く
その明るさ
私はそれを
私の魂とする
念ずれば花ひらく
念ずれば花ひらくと
唱えればいいのです
ただ一心に唱えればいいのです
花が咲くとか
咲かぬとか
そんな心配はいりません
どうかあなたの花を
あなたの心田(しんでん)に
咲かせてください
必ず花はひらきます
坂村真民
耐え難いときは
大木を仰げ
あの忍従の歳月と
孤独とを思え
坂村真民
一途に生きているから
星が飛び
花が燃え
天地が躍動するのだ
雲が呼び
草が歌い
石が唸るのだ
一心に生きているから
この手が合わされ
憎しみを
愛に変えることができるのだ
一途であれ
一心であれ
坂村真民
空に星が光っている
野に露が光っている
山に木が光っている
ああ
光を求め
光を見つめ
生きていこう
坂村真民
さあこれから収入がなくなるのだ
お互い覚悟していこう
乾杯
これは妻と二人でかわした
変わった乾杯であった
今の私に一番大切なのは
残された後わずかな年を
どう生きていくかとゆう事にある
なにものにも束縛されず
詩一筋に生きりためには
どうしても収入の道を
断たねばならぬ
だからこれは出離への
門出の乾杯といってもよかった
悲壮感がなかったのが
なによりも救いであった
わたしは妻に感謝した
坂村真民
ひとりぞよけれ
ひとりいて
ひとを思い
ほとけを思い
父母を思い
三人の子を思い
なみだをながして
ときをすごす
ひとりぞよけれ
ひとりぞよけれ
坂村真民
わたしは
今を生きる姿を
花に見る
花の命は短くて
など嘆かず
今を生きる
花の姿を賛美する
ああ
咲くもよし
散るもよし
花は嘆かず
今を生きる
坂村真民
いかに生きるかを学べ
いかに愛するかを学べ
いかに死するかを学べ
風
ともに
あゆめば
風
ひかる
坂村真民
貧しくとも
貧しくとも
心は常に高貴であれ
季節の心を知り
一片の雲にも
無辺の詩を抱き
一碗の米にも
労苦の恩を感じよう
坂村真民
見えない根たちの
願いがこもって
あのような
美しい花となるのだ
坂村真民
せめるなせめるな
人を責めるのが一番いかんと
朝夕
わたしに告げる
くちなしの花
坂村真民
すべて
とどまると
くさる
この恐ろしさを知ろう
常に前進
常に一歩
空也は左足を出し
一遍は右足を出している
あの姿を
排してゆこう
坂村真民
いかに生きるかを学べ
いかに愛するかを学べ
いかに死するかを学べ
坂村真民
右往左往せず
右顧左眄せず
自分の道を
一筋に行こう
これよりほかに
道はない
坂村真民
落下するにあたり
未練はないだろう
朴の広葉の
落ちざまの
見事さ
坂村真民
花は嘆かず
わたしは
今を生きる姿を
花に見る
花の命は短くて
など嘆かず
今を生きる
花の姿を
賛美する
ああ
咲くもよし
散るもよし
花は嘆かず
今を生きる
坂村真民
天才でない者は
捨ての一手で
生きるほかない
雑事を捨てろ
雑念を捨てろ
坂村真民
わたしは
今を生きる姿を
花に見る
花の命は短くて
など嘆かず
今を生きる
花の姿を賛美する
ああ
咲くも良し
散るもよし
花は嘆かず
今を生きる
坂村真民
弱音を吐いちゃいかん
愚痴を言っちゃいかん
千里万里を飛んでくる
渡り鳥たちを思え
坂村真民
危機の中で
人は成長し
危機の中で
人は本ものになる
だから危機を避けるな
むしろ危機に立ち向かう心を養え
冷たい烈風の中を
行きつつ思う
坂村真民
あとからくる者のために
苦労をするのだ
我慢をするのだ
田を耕し
坂村真民
おもかげは
ゆめとおもえず
匂いのこれり
花のごとくに
坂村真民
忘れてはいけない
貧しかった時の事を忘れるな
苦しかった時の事を忘れるな
嬉しかった時の事を忘れるな
責めるな
責めるな
人を責めるのが
一番いかんと
朝夕
わたしに告げる
くちなしの花
坂村真民
流れにまかせる
生きることの
むつかしさ
生きることの
ありがたさ
生きることの
うつくしさ
まかせきって
生きることの
よろこびに
燃えよう
坂村真民
念ずれば花ひらく
念ずれば花ひらくと
唱えればいいのです
ただ一心に唱えればいいのです
花が咲くとか
咲かぬとか
そんな心配はいりません
どうかあなたの花を
あなたの心田(しんでん)に
咲かせてください
必ず花はひらきます
坂村真民
何が
一番いいか
花が一番いい
花のどこがいいか
信じて
咲くのがいい
坂村真民